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[厚底シューズ]カーボンプレート内蔵厚底シューズの使い分け。普段のトレーニングで着用するデメリットは?

本記事は理学療法士(ランニングトレーナー)&市民ランナーである管理人が投稿しています。

 

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厚底シューズに関する研究(要約)

本記事は主に下記の文献を参考にしつつ、個人的な見解も交えて記事を作成しております。

参考文献;
カーボンファイバープレート内蔵厚底ランニングシューズによる ランニングエコノミーへの影響,ランニング学研究,2023

 

まず文献をもとに内容を整理しましょう。

(※RE=ランニングエコノミー)

ポイント

  • 男性陸上競技長距離選手10名を被験者としたエネルギー代謝測定とシューズによるバイオメカニクスの違いについて調べた。
  • 比較したシューズはNike ZoomX Vaporfly Next%とNike Zoom Streak 7
  • 結果、恩恵の高いランナー(RE改善)低いランナー(RE低下)がいた。
  • Nike ZoomX Vaporfly Next%で5.7%ランニングエコノミーが改善される、支持局面を通して足関節が底屈位であることが示された。
  • 高恩恵ランナーは低恩恵ランナーよりも足関節が平均値よりも背屈位にあった。
  • ランニングエコノミーの恩恵を受けないランナーでは支持局面において膝関節の内旋がみられた。

この文献の内容と私の本業である理学療法士(リハビリテーション)としての経験と解剖・運動学的な視点において言えることはアキレス腱の弾性エネルギーをいかに有効利用できるか、有効利用できる身体環境を作り出せるか、という点がマラソンのパフォーマンスアップには重要ということです。

 

 

この弾性エネルギーというのが”肝”なんですが、エネルギーを必要とせずに推進力を得られるので省エネ走法が可能になります。

裏を返せば、弾性エネルギーを使えない走りは筋疲労が早く、長く走れないということです。

 

 

[フォーム改善]力まず、疲れにくいマラソン向きの走りに変えるためのポイントでも弾性エネルギーについて触れています。

 

Nike ZoomX Vaporfly Next%の場合、シューズの影響により支持局面では足関節が底屈位(つま先が下を向く)の傾向がみられるため、本来であればアキレス腱にはたわみが出て弾性エネルギーの利用効率が下がるはずです。

 

イマリ
そうです、通常ではパフォーマンス低下に直結するはずです。
イマリ
それにも関わらず、ランニングエコノミーは改善する。

 

 

つまり、それ以上にカーボンプレートによるエネルギー効率の方が上回るという驚きの結果が生じているのではないか、ということが考えられます。

それは実際に著者の考察のなかでも同様の事が述べられています。

 

足関節底屈位によるアキレス腱の弾性エネルギーの貯蔵および再利用を低下させるものの、それを上回るカーボンファイバープレートおよびミッドソールの優れたエネルギーリターンによって、REが改善していると考えられる。

引用;カーボンファイバープレート内蔵厚底ランニングシューズによる ランニングエコノミーへの影響,ランニング学研究,2023

 

 

カーボンプレート内蔵の厚底シューズの「メリット」

メリット

  • ランニングエコノミー(→パフォーマンス)の改善
    →ある研究では従来のシューズより4%も向上!!

もはやカーボンプレート内蔵の厚底シューズは競技性の高いトップランナーだけでなく市民ランナーにとっても当たり前のランニングアイテムとなりました。

代表格はNIKEのヴェイパーフライネクスト%シリーズやアルファフライシリーズ、adidasのアディゼロシリーズなど各メーカーがこぞって生産・販売しています。

 

着用するメリットはズバリ、タイムが伸びる!ってことなんですが、確かに実感としては想定以上の結果が出やすい印象があります。

ちなみに他の文献の報告においても、あまりランニングエコノミーに変化がみられないランナーもいたようなのでせっかくシューズを着用しても期待通りに100%タイムが伸びる、とは言えないようです。

 

 

カーボンプレート内蔵の厚底シューズの「デメリット」

デメリット

  • 価格が高い
    →1足のシューズに3万円前後必要
  • 耐久性が低い
    →他のシューズと比べ耐用距離が少ない

要約の点でも触れましたが、決してすべてのランナーに合うシューズでもないので1歩間違えば扱いづらいシューズでもあるわけですが、1度は着用してみたくなりますよね?

ただ、気になるのは何よりも価格が高いこと。

1足に3万円前後が相場で各メーカーにおいてそこまで優劣のない状況です。

 

イマリ
少々値崩れした従来のシューズであれば1足5,000円〜8,000円くらいで買えるので4〜5足は買える計算ですよ!?

 

また、耐久性という点でもやや難ありといったところでしょうか。

従来のシューズでは約600kmほどが走行可能目安ですが、カーボンプレート内蔵の厚底シューズは(あくまで印象ですが)300km〜400kmほど使えば買い替えを検討していく必要はあると思います。

 

さらにデメリットとして注意しておくべきが下記の2点です。

ポイント

  • 男性陸上競技長距離選手10名を被験者としたエネルギー代謝測定とシューズによるバイオメカニクスの違いについて調べた。
  • 比較したシューズはNike ZoomX Vaporfly Next%とNike Zoom Streak 7
  • 結果、恩恵の高いランナー(RE改善)と低いランナー(RE低下)がいた。
  • Nike ZoomX Vaporfly Next%で5.7%ランニングエコノミーが改善される、支持局面を通して足関節が底屈位であることが示された。
  • 高恩恵ランナーは低恩恵ランナーよりも足関節が平均値よりも背屈位にあった。
  • ランニングエコノミーの恩恵を受けないランナーでは支持局面において膝関節の内旋がみられた。

結論としては、このことからランニング障害(ケガ・故障)につながる危険性を高める可能性も含んでいるということがわかります。

例えば、アキレス腱炎によるアキレス腱の痛みやランナー膝と呼ばれる腸脛靭帯炎、膝関節痛などです。

 

個人的にはX脚(内股)傾向の強い女性、扁平足のあるランナーはかなり注意が必要と考えます。

上記のようなランナーはそもそもカーボンプレート内蔵の厚底シューズの恩恵を受けるどころか逆効果の可能性が高いので使わない、もしくは使いこなせるように身体機能面を克服していく必要があります。

 

 

普段から着用することで危険性↑

普段のトレーニングから着用することは避けましょう。

デメリットと重複する部分になりますが、アキレス腱のたわみが出て弾性エネルギーを使えないために無駄に筋力を高めた走りとなることで疲労感(ふくらはぎのハリ)やエネルギーの枯渇につながる可能性が高まると考えられるからです。

 

どこかしらで不具合が出て筋力のバランスが崩れた走りをすることで、結果的に全体のバランスが崩れます。

効率の悪い、崩れたフォームではパフォーマンスは絶対に上がりませんし故障の危険性はどんどん高くなります。

 

普段の練習では薄底シューズやカーボンプレートが内蔵されていないシューズを使いましょう。

 

カーボンプレート内蔵シューズからの「脱却」

あくまでも個人的な考えですが、市民ランナーでサブ3を目指すレベルまでならカーボンプレート内蔵の厚底シューズは使わなくてもよいのかなと思います。

 

※カーボンプレート内蔵の厚底シューズを全否定しているわけではありません。

 

仮に使うとしてもマラソンレース中のみにとどめて最小限の機会にすることをおすすめしたいかなと。

 

私の場合は1秒を争うレースとは縁がないようなマラソン・ライフを送っているので、そこにお金を費やすメリットを感じなくなりました。

それに故障(痛み)で走れなくなる期間を作ってしまうことの方がよほど悪影響だと思います。

 

もちろん、これまでNIKEやadidasのカーボンプレート内蔵の厚底シューズを使っていたこともありましたが、本記事で取り上げたような故障の危険性などについては当時、ほとんど知りませんでした。

そのようなメリット・デメリットを知ったうえで天秤にかけ、財布とも相談して(笑)使うかどうかの選択をしていきましょう。

 

たしかにフルマラソン3時間1分とかの持ちタイムでどうにかサブ3を達成したい!というランナーであれば、最後の切り札として使ってもよいかもしれないですが。笑

 

最後に

今回は1文献を中心とした内容をもとにお伝えしているので、すべてが正解かどうかはわかりません。

さらに研究が進めば、また別の結果が出ることもあります。

 

人それぞれの見かた・考え方はさまざまです。

周りのランナーや情報に流されて「自分の走りには合わないけど使い続ける」ということだけはないように注意しましょう。

 

参考文献;
カーボンファイバープレート内蔵厚底ランニングシューズによる ランニングエコノミーへの影響,ランニング学研究,2023

 

 

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