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大腿骨疲労骨折
疲労骨折の実態調査
マラソンランナーに多い故障・ケガに「疲労骨折」があります。
大腿骨に加わる荷重ストレスや筋の張力(ひっぱりの力)が反復することで負担が積み重なり疲労骨折につながります。
大腿骨の疲労骨折は珍しいものではなく症状について理解しておくことで早期対処が可能です。
箱根駅伝に出場した大学生を対象とした調査報告では1年間で約20%の選手が疲労骨折を経験していたとされています。
部位別にみると圧倒的に多いのが脛骨、大腿骨、中足骨の疲労骨折です。
相対的に数は少ないですが仙骨、腓骨、立方骨などの疲労骨折の報告もあります。
月間走行距離との関連は8月の発生件数が多く、おそらく夏合宿等で走行距離が多くなり、ダメージが蓄積しやすいためだと思われます。
疲労骨折は痛みを我慢して続けても良いことはありません。
痛みが出てから早期に練習を中断し医療機関を受診することで、結果的に早期復帰が見込まれます。
(参考)日本臨床スポーツ医学会2020,下肢疲労骨折が治癒するまでの期間:箱根駅伝出場校選手の実態調査より
発生部位
疲労骨折を生じやすい部位はおおまかに上記3カ所となります。
症状・検査
ランニングでの痛み
大腿骨に荷重が加わるたびに痛みが出ます。
軽症、初期症状であれば歩きで痛みはそこまで感じませんが、重症化してくると歩きでも痛みが感じられます。
疲労骨折の前段階として(おそらく)骨膜炎という症状がみられます。
その段階で休養し回復に集中すれば疲労骨折は避けることができますが、意外にも「走れてしまう」という厄介な状態です。
圧痛
好発部位で圧痛がある(押して痛みが出る)場合は危険サインです。
ただ、大腿骨の疲労骨折は痛みがわりと不明瞭で広範囲に広がったり、膝の方が痛いなあと感じられることもあります。
この後に説明しているFulclum test(フルクラムテスト)でも大腿部の後ろの方の圧迫で「抜けるような」痛みが出る場合があります。
Hop test
片脚で10回ジャンプ(ホップ)することで痛みの有無やジャンプが可能かによって判別します。
グレード0 | 痛みなし、10回跳べる |
グレード1 | 痛みはあるが10回跳べる |
グレード2 | 痛みがあり数回しか跳べない |
グレード3 | ほとんど跳べない |
Fulcrum test
大腿骨に撓み(たわみ)の力を加えて痛みを誘発する方法です。
セルフチェックする場合は固い座面の椅子などに座り、両手を大腿部の下に入れましょう。
症状が強い場合は、これだけで痛みが出ます。
筋肉痛のような痛みではない、不快な痛みが現れた場合はスポーツ整形外科を受診することをおすすめします。