故障(ケガ)

[ランニング障害]種子骨障害〜母趾の付け根の痛み〜に関するまとめ

本記事は理学療法士(ランニングトレーナー)&市民ランナーである管理人が投稿しています。

 

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本記事のキーワード:
母趾(足の親指)の付け根の痛み、種子骨、短母趾屈筋

 

母趾の付け根が痛い

 

母趾の付け根には「種子骨(しゅしこつ)」と呼ばれる小さな骨があります。

ちょうどその部位に痛みが生じてしまう原因の1つに種子骨障害が挙げられます。

 

典型的な症状としては図に示したような部位に痛みが生じます。

  • 押すと痛い(圧痛)
  • 体重が乗ると痛い(荷重時痛)
  • 母趾をそらせると痛い(伸張痛)

 

こういった症状の場合はまず種子骨障害を疑いましょう。

 

原因

痛みの原因としては繰り返し同部位にストレスが生じることで短母趾屈筋の炎症が起こったり、種子骨の疲労骨折、まれに骨壊死などが挙げられます。

経験的にはオーバーユース症候群による典型的なランニング障害と言えます。

最近ではカーボンプレートを使用したシューズの利用とフォアフット走法の流行により前足部に着地衝撃が集中しているランナーが増えている可能性があります。

 

このようなランニングフォームの変化も慢性的な機械的ストレスの増加を引き起こし、種子骨障害を招く原因となる可能性が高いと言えます。

 

対処法

 

明らかに痛みの特徴が当てはまるようであれば、短母趾屈筋のストレッチを試してみましょう。

2〜3日はマッサージを継続しながらランニングは中止で様子を見ます。

 

痛みの部位を確認しましょう。

親指の付け根を軽く曲げて、その下(足底)付近に種子骨が存在します。

さらに種子骨から踵(かかと)の方に向かって短母趾屈筋が存在します。

おおよその位置が写真右の領域です。

短母趾屈筋に対してセルフマッサージを行います。

筋に対してまっすぐに圧が加わるようにしてください。

マッサージの強さは「気持ち良く感じる強さ」がおすすめです。

逆に強すぎる圧は症状を増悪させる危険性もあるため注意しましょう。

※撮影の都合上、片手で行なっていますが両手の親指を寝かせた状態で短母趾屈筋にあてて、ゆっくり押していくイメージが良いでしょう。

親指を寝かせる理由は接触面積を広くして「1点」ではなく「面」でマッサージする方が良いためです。

 

それでも症状が治らない、もしくは症状が典型例から外れているようだと感じた場合は早めに近隣の整形外科を受診することをおすすめします。

 

実際のケース(管理人の経験談)

【発症】

発端はアスファルトのサーフェスをランニング中に違和感を感じました。

左母趾の付け根〜土踏まずあたりに軽い痛みと攣るような感覚が出現しましたが、すぐに軽快したためランニングは続行。

【痛みの特徴と経過】

痛みの特徴としては、母趾の背屈(指をそらせる)と荷重がかかることで痛みが出て、通常の歩行であればわずかに気になる程度でした。

最初に違和感を感じた後、数日間は「走れないことはないけど徐々に痛みが強くなる」という状態が続きました。

明らかにおかしいなと思い、1週間ほど完全に走ることを止め休息期間に。

 

しかし、1週間ほど経過しても症状はあまり変わりなく走り始めは比較的痛みもなく走れるけど徐々に痛くなる、という繰り返しです。

【結果・原因】

最終的に判明したことは短母趾屈筋の過剰な緊張と牽引ストレスにより種子骨の位置が若干ズレてしまっているということでした。

その結果、ランニング中の着地衝撃が種子骨にかかりすぎてしまうことで痛みが生じてしまうということです。

直接的な原因としてはおそらくオーバーユース症候群であり、トレーニング環境は基本的に硬いアスファルト上でジョグがほとんどという単調なトレーニングを続けていたことが発症のきっかけです。

【対策】

そこで、本記事の途中で紹介した短母趾屈筋のストレッチを行い種子骨の位置異常を修正することで痛みが軽減しました。

その後、数日間のセルフマッサージでランニングに復帰可能となりました。

また、前足部〜中足部接地によるランニングフォームを後足部接地に変更することと練習後の短母趾屈筋のストレッチを継続することで症状の再発を予防しています。

 

最後に

私は本業が理学療法士(整形外科クリニックでリハビリテーションを担当)であったため、自分自身で痛みの原因を分析し対応が可能でした。

しかし、自分自身で対応が難しい場合は専門の医師・理学療法士に早めに相談してください。

ランニング障害による「痛み」はすぐに良くなることも多いですが、痛くなるきっかけは他にあります。(例:ランニングフォームや偏った筋力バランスなど)

 

そのような「根本的な問題」に対してもアプローチしていかないとランニング障害は再発を繰り返す可能性があることを念頭にいれておきましょう。

 

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