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殿筋、股関節
殿筋群(でんきんぐん)は超重要
- 股関節の中で1番大きい筋(=発揮できる力が強い)
- 可動性が高い股関節をそれぞれの方向に動かす力がある
本章の見出しでは「殿筋群」と総称していますが、大きく分けると3つの筋をさしています。
- 大殿筋
- 中殿筋
- 小殿筋
大殿筋は「お尻」を形作っている筋で名前の通り股関節に存在する筋のなかでも1番の大きさを誇ります。
股関節の「伸展」という動きの主動作筋(=その動きのメインの役割を担う筋)であり、当然ランニングには重要です。
そのため、大殿筋はしっかりトレーニングしている人が多いのですが、実は意外にも意識している人が少ない「中殿筋」と「小殿筋」のトレーニングがポイントです。
本記事では中殿筋および小殿筋に注目して解説します。
中殿筋と小殿筋×ランニングにおける機能
中殿筋
- 大殿筋の深層に位置
- ランニング全体を通して股関節の安定
(特に走行初期に力を発揮!) - 主な作用は股関節の外転
(前部線維は内旋補助、後部線維は外旋)
小殿筋
- 中殿筋の深層に位置
- 主に股関節の安定性を高める役割を担うインナーマッスル
(走行周期の最初の20%に後部線維が、立脚期の後半に前部線維が良く働く) - 主な作用は股関節外転
(前部線維は内旋補助、後部線維は外旋)
大殿筋は主に股関節の伸展に作用しますが、中殿筋や小殿筋は主に外転に作用します。
あくまでも「主に働く」わけで、中殿筋・小殿筋も股関節の伸展作用を持っています。
中殿筋と小殿筋の筋力低下で何がおこる?
中殿筋・小殿筋の筋力低下や機能不全による影響は深刻です。
イラストは床反力というものを簡単にイメージしたものになります。
つまり、体重がかかった瞬間に重心に向かって跳ね返ってくる衝撃(力)のことです。
この床反力は走行周期の約20%付近でピークを迎えます。
そうなんです!
前の章で説明した通り、走行周期の20%付近とは殿筋群が最も活動するタイミングと一致します。
床反力(衝撃)を筋肉によって吸収できる力がない人は、それだけ関節にかかる負担が増加する可能性も示唆されています。
(→明言は避けますが、将来的に膝関節や足関節の変形性関節症につながるかもしれない)
筋力低下による影響
- 大腿の内転増大
[→いわゆるknee in=膝が内側に入ることでケガのリスク↑] - 骨盤の動揺(下降)
[→結果的にパフォーマンスや代謝効率の低下につながる] - 股関節の不安定性
[→荷重(床反力)を制御できない]
これまでに説明した通り、殿筋群は股関節の安定に関与する筋群です。
関節が不安定になれば、それだけ力の発揮もできない状態に陥るだけでなく、ケガのリスクも高まるため全くもってメリットがありません。
中殿筋と小殿筋×ケガとの関連はある?
股関節の筋力不足がケガに影響する可能性は高いと考えられます。
理論的にも中殿筋の筋力不足は「膝の外反(=knee in)」につながり、結果的に腸脛靭帯に過度の張力をもたらすことで腸脛靭帯と大腿骨の摩擦ストレスを引き起こすことが明らかになっています。
いわゆる「腸脛靭帯炎」を起こしてしまうということです。
他にも膝の外反(いわゆる内股)が強くなることで「前十字靭帯損傷」のリスクを高めたり、「膝蓋大腿関節(=膝のお皿と大腿骨との関節)」の痛みにつながる可能性があります。
一見、関係ないように感じるかもしれませんが「足底腱膜炎」の痛みの緩和にも効果的であったとの報告もあります。
自宅でおすすめのトレーニング
- ブリッジ
- シングルレッグ・ブリッジ
- クラムシェル
- サイドプランク
- サイドプランク+ヒップアブダクション
- 片脚立位
- ウォールプレス
- サイドライイング・ヒップアブダクション
- ラテラルステップアップ
- シングルレッグ・スクワット
- スケーター・スクワット
さまざまなトレーニング方法がありますが、基本的にはやり方を間違わなければ筋肉は鍛えることができます。
上記に挙げたのはあくまでも一例です。
普段のトレーニングではただ走るだけでなく、少しばかりの筋力トレーニング(補強)も入れてみることをおすすめしますよ。
最後に
股関節は可動性の高い関節でありながら、体重を受け止めるという安定性も求められる重要な関節です。
その中でも中殿筋と小殿筋は非常に重要な筋肉であることは間違いありません。
床反力(衝撃)の吸収は故障やパフォーマンスに直結する重要なキーワードです!
必ず理解しておきましょう。
また、余談ですが近年の厚底シューズにより股関節の故障が増えつつあるとのデータが示されつつあります。
もし厚底シューズを履きこなしたいという人ほど「股関節のトレーニング」をしっかりやっておくことが大切と言えるでしょう。
ランナー向けの栄養補給
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