故障(ケガ)

[ランナーの股関節痛]Groin pain(グロインペイン)という股関節のランニング障害を知っていますか?

本記事は理学療法士(ランニングトレーナー)&市民ランナーである管理人が投稿しています。

 

SNSは苦手ですがボチボチ更新してます

特にInstagramをフォローして応援してくださると嬉しいです!!

 

当ブログでは記事内でアフィリエイトによる商品紹介、広告(PR)が含まれております。

あらかじめご了承ください。

Groin pain(グロインペイン)とは

股関節、鼠径部に生じる痛みのことを股関節痛・鼠径部痛と呼ぶ他に「グロインペイン」と総称されています。

 

グロインペインは筋力の低下や柔軟性低下、骨盤・体幹の不安定性、不適切なウォーミングアップ、不良姿勢などの原因が複合的に影響し、その治療や予防法が確立されていないとされています。

また、グロインペインは完治するまでに時間を要し、症状が長期化しやすい・再発率が高いということも言われています。

 

ランナーにも多い症状の1つで油断はできません。

ランナー歴が長く股関節の不調を1度は感じたことがある、という人は要注意だと考えられます。

 

どこが痛い?

 

股関節、鼠径部痛と言うだけあって言葉のまま股関節周囲が痛みます。

ただし、細かいポイントは人によって微妙に違いがあります。

典型的な部位としては鼠径部(股関節の前面)、股関節のやや外側、内腿(うちもも)ですが、まれに下腹部の方にも痛みを感じる場合があります。

 

 

グロインペインの原因は?

絶対にコレだ!という原因は決まっていません。

不良姿勢や競技特性(多いのはサッカーなど)によって股関節に反復的にストレスが蓄積しやすい人、股関節の適合性が良くない人などに多いです。

スポーツをしていなくても股関節痛が出る人はいますし、特に女性で内股傾向の人に痛みが出やすいです。

言い換えると、(男女問わず)内股傾向の人が繰り返しトレーニングを行い、長距離を走れば走るほど股関節にストレスが蓄積している可能性が高い、と言えます。

 

私が勤務する整形外科クリニックに股関節痛を訴えて来られる方々の特徴をおおまかにまとめます。

グロインペインになりやすい人の例

  • 膝が股関節や足部より内側に入る「内股」
  • 扁平足、外反母趾が強い
  • 股関節まわりの筋力が弱い
  • 上半身(脊柱)の姿勢が崩れている(側弯の人も含まれる)
    (→猫背だけでなく腰の反りすぎもNG)
  • 体幹が弱い、不安定
  • 左右で足の長さが違う(股関節〜くるぶしまでの長さ)
  • 全身の柔軟性が低い

 

このような特徴がある人は要注意です。

「今」は痛みがなくても将来的に痛みが出てくる可能性もあります。

 

治療と予防

扁平足や外反母趾と内股姿勢・歩行は骨格的に関連しやすいという特徴があるので、それぞれを単独で治療しても良くならないことが多いです。

「運動連鎖」と呼ばれる現象(骨・関節的に1カ所が動くと隣接する関節が連動して動く)によって、そうなりがちです。

 

なかなか自己流で治していくのは難しいと思いますが、簡易的なチェックなら1人でも可能です。

例えば、「内股」になっていないかどうかは鏡の前で普段の立ち姿勢を取れば一目瞭然。

膝同士が完全に付いて股関節や足首よりも内側に膝関節がある人(図の真ん中の状態)は本当に要注意です。

 

あとは扁平足、外反母趾が強い方は日常的に悪い癖がついている可能性が高い証拠です。

ランナーとして楽に走りたい、パフォーマンスを上げたいのであれば専門家に相談してどこかしらに生じている弱点を克服していく必要がありますよ。

 

 

これまでの経験的な話しだけでなく、論文・研究の報告による内容についても多少触れておきます。

ランニングの接地が股関節内転・内旋位をとり、足部が体幹よりも前方に接地していると股関節前内側面に圧縮ストレスが生じ、グロインペインの発症につながる。(舌,2012)

 

着地位置や関節角度の相違、骨盤の支持安定性の評価に留意するべき。(田島・帖佐,2017)

 

ランニングの接地期の股関節伸展動作においては対側上肢の動きと下肢が連動する動き(クロスモーション)が重要であり、立脚側の足部接地後から下肢の伸展、内旋動作を起点とした骨盤回旋・前進運動の誘導がポイントとなる。(仁賀ら,2018)

 

(グロインペインがある人はグロインペインがない人と比べて)接地直後に骨盤が後傾側に推移し、支持期において遊脚側の骨盤が下制、支持脚側の股関節が内転していた。(江波戸ら,2021)

 

ランナーを含むアスリートの股関節痛(グロインペイン)に関する研究・報告はまだまだたくさんありますが、なかでも股関節内転位での接地(=膝が内側に入ることと同じ)や体幹・骨盤の安定性、姿勢との関連は特に重要と考えられます。

 

さらに、私が感じているのが股関節外旋筋群と呼ばれる臀部の深層に存在する比較的小さい筋肉たちが上手く機能していない(遠心性収縮による制動)ことが痛みにつながる大きな要因の1つだと考えています。

ですから、臀部深層の筋に弱さがあるかどうかをチェックして明らかに弱さがあるようならピンポイントで狙ってトレーニングする必要があります。

 

あえて本記事ではトレーニングの例は載せないことにしました。

この記事を読んでいるアナタが弱点となっている筋や痛みの原因が必ずしもそうとは限らないからです。

ただし、1つだけ言えることは股関節痛があるようならリハビリテーションなどの治療は必要だろうということです。

 

医師や理学療法士、トレーナー資格を持った(できれば陸上競技経験者や市民ランナーの)専門家に相談できる場所を探すことをおすすめします。

 

参考文献

Groin painの自発痛部位と難治性groin painのMRI所見の関連性,二瓶ら,2020

ランニング動作からみた障害発生,ランニング障害のリハビリテーションのリコンディショニング,舌,2021

ランナーの股関節障害,田島ら,2017

鼠径部痛症候群の発症メカニズムと臨床診断,仁賀ら,2008

股関節・鼠径部痛の既往者におけるランニング動作の特徴,江波戸ら,2021

 

ランニング・トレーニングについて詳しく知りたいなら

ダニエルズのランニング・フォーミュラ

 

リディアードのランニング・トレーニング

 


 

On(オン)のランニングアイテムを要チェック!

ランニングアイテムを揃えるならOnのチェックは欠かせません!

 

Onは高機能のウェアやシューズ、他ブランドにはないサブスクリプションシューズまで展開しているスイス発ランナー向けブランドです。

 

ランナーの間でも人気となっているCloudmonster(クラウドモンスター)シリーズは安定感のあるシューズで私も愛用しています。(写真はCloudmonster2)

 

あとは個人的にOnのアパレルが非常にお気に入りで(高いけど)ついつい買ってしまいます・・・。

ランニング用のシャツやショーツはもちろん、私服も良い物が揃っていますよ!

 

ランニングを始めたい初心者から記録を伸ばしている中・上級者まで【On(オン)公式】でお気に入りアイテムをチェックしてみましょう!!



-故障(ケガ)