本記事は理学療法士(ランニングトレーナー)&市民ランナーである管理人が投稿しています。
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はじめに
肉離れとは、筋組織の損傷でありさまざまな筋におこります。
そのなかでも頻発する筋はコチラです。
代表的な3つの筋肉
- 大腿四頭筋
- 内転筋
- ハムストリングス
本記事では上記3つを中心に解説します。
肉離れでおこる痛みと部位
大腿四頭筋
痛みは大腿部の前面に圧痛(押したときの痛み)や動かした時の痛みが出現します。
大腿四頭筋とは大腿部の前面に存在する4つの筋を総称したものです。
大腿四頭筋
- 大腿直筋
- 内側広筋
- 中間広筋
- 外側広筋
※諸説あり&マニアックな話しですが5つの筋の総称といわれる場合もありますが割愛します。
このなかで最も多いのが大腿直筋です。
大腿直筋は「2関節筋」と呼ばれる機能を有しており股関節+膝関節の2つの関節の動きに影響を与える筋になります。
内転筋
大腿部の内側または前面にかけて痛みが出現します。
股関節の外転(内転筋の伸張)や自ら内転・屈曲方向へ動かした際に痛みが出現します。
内転筋
- 長内転筋
- 短内転筋
- 大内転筋
- 恥骨筋
他にも股関節内転に働く筋はありますが、ここでは4つの筋をあげています。
傷害部位としては長内転筋の近位筋腱移行部、恥骨下枝への腱骨移行部、筋腹に多いとされています。
ハムストリングス
大腿部の後面に圧痛などの痛みが起こります。
ハムストリングスとは大腿部の後面に存在する3つの筋を総称したものです。
陸上関係者では「ハム」と省略して呼ぶことが多いです。
ハムストリングス
- 半膜様筋
- 半腱様筋
- 大腿二頭筋
ハムストリングスの肉離れで多いのは大腿二頭筋とされていますが個人差はありますし、残念ながらハムストリングス全部を同時に受傷するケースもあります。
肉離れが起こる原因
- ウォームアップの不足
- 急激に動いた瞬間(過剰な遠心性筋収縮)
主に上記のようなケースが共通項目として挙げられます。
遠心性収縮とは、筋が引き伸ばされながらも収縮(力を入れる)している状態を指します。
収縮様式は分かっていても自分でコントロールすることはなかなかできないので、あまり難しく考えなくても問題ありません。
ただ、リハビリテーションの時期になればトレーニングの一環として収縮様式もしっかり整えながら再受傷しないように工夫していく必要はありますが、直接専門家に任せる(説明を受ける)方が良いですよ。
大腿四頭筋
ゆるやかに発症するケースと急激な動きで発症するケースの大きく2パターンあります。
大腿四頭筋肉離れ | ||
グレード | 重症度 | 内容 |
1 | 軽度 | 筋腱単位のわずかな断裂を伴う過伸展(5%以下の筋腱線維の断裂) |
2 | 中等度 | 筋の不全断裂 血腫形成を伴う筋内出血あり 筋力は明らかに低下 |
3 | 重度 | 完全断裂 筋の機能は失われる (列離骨折を伴う場合は重度) |
グレード1程度であれば、練習量を調節しながらランニングはできないこともないですが、グレード2以上は完全に治療対象です。
早めに病院を受診しましょう。
内転筋
急性の発症もしくは慢性血管線維芽細胞性腱障害として発症するケースがあります。
ハムストリングス
圧倒的に多いのは急性の発症ですが、ゆるやかに発症するケースもあります。
どちらかと言えば瞬発的な力を発揮する短距離走者やサッカー選手などに多いですが、長距離ランナーでも起こる可能性はありますので注意しましょう。
対処法(治療法)
発症から間もない時期(急性期)
基本的にはアイシングや安静を心がけます。
炎症(熱感、腫れ、痛み、発赤)を早期に沈静化させることが必要です。
筋の損傷であるため、ストレッチは中止した方が無難です。
もしストレッチをおこなうのであれば過度にならないように「痛みが出ない範囲でごく軽度のストレッチ」にとどめておきましょう。
発症から時間が経過した時期(慢性期)
適切なリハビリテーションが必要な時期になります。
リハビリテーションは「今」のカラダの状態を改善するだけでなく、将来の再発予防に向けて必須です。
基本的な内容
- ストレッチ(柔軟性改善)
- マッサージ(瘢痕除去など)
- 筋力強化(求心性/遠心性)
- 実際の動きの確認やトレーニング
再発予防に向けて必要なこと
- 何よりもウォームアップはかかさずに
- ランニングフォームの見直し
- 腰椎(姿勢)や膝関節、足関節の機能改善など
ランニング障害は甘く考えると痛い目に遭います。
故障を繰り返し、十分にトレーニングが積めないことで結果も出ないという悪循環にはまってしまう前に「予防」が必要です。
肉離れは急激な(瞬発的な)動きで発症するケースが多いですが、発症直前の筋の疲労度合いや筋長(筋の長さ)といったコンディション、またゆるやかに発症するケースでは日々のトレーニングによる負担の蓄積が影響している場合があります。
そのように深く追求していくと、ランニングフォームや一見関係ないように見える離れた部位の関節の機能障害が潜在的に潜んでいることも多いです。
個人差があり、一概には言えないため「オーダーメイド」のリハビリテーションやトレーニングが必要となってきます。
自己流であったりSNSやYouTubeから得られた情報だけでなく、ときにはパーソナルトレーナーや病院・クリニックに在籍するリハビリテーション専門のスタッフ(理学療法士等)を頼りましょう。
最後に
肉離れは痛みを伴う筋損傷であり治療が必要なランニング障害の1つです。
回復を早めるためには食事、睡眠など基本的なことが欠かせませんが、その他に肉離れを受傷したあとのケアはもちろん、受傷前のコンディショニングでも使用できるアスリートミニ(ATmini)などのアイテムも傷害予防・早期復帰に役立てることができます。
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