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ランニング障害、路面(サーフェス)
サーフェスの硬さ
硬いサーフェス(例:アスファルト)と柔らかいサーフェス(例:芝生)では着地衝撃に違いがみられ、カラダにかかる負担が変化します。
ランニング障害はカラダに対して繰り返しストレスが与えられることで起こる障害です。
硬いサーフェスでの練習ばかりになると障害発生の危険性は高まります。
上記のように硬いサーフェスがさまざまな故障につながる、とは言いますが単純に着地衝撃が大きくなることだけが原因というわけでもありません。
参考
硬いサーフェス(アスファルト)と、表面をラバーでコーティングしたアスファルト上のランニングの間で着地衝撃を比較した結果、硬いサーフェスでは着地衝撃の立ち上がりが急激になるものの、衝撃の最大値には両サーフェス間で差がみられなかった。さらに、サーフェスの硬さによって着地衝撃の最大値が変わらない背景には、硬いサーフェスでランニングを行う際には、より下肢の関節を柔軟に動かし、スティフネス(剛性・硬さ)を低下させることで衝撃の吸収を促している、という生体の適応があることが明らかにされている。(Dixonら)
路面の傾斜(上り・下り)
- 起伏の大きな地形を利用したトレーニングは筋活動を高める効果的な手段
- ただし、下り坂では着地衝撃も増加するため故障の危険性も高まる
- 上り坂走では着地衝撃を抑えた推進力のトレーニングとして有効
上り坂ではかかと接地が減少し着地衝撃の減少、接地位置の変化(高さ)による位置エネルギー変化などが起こります。
逆に下り坂では着地衝撃の増加、筋の遠心性収縮が起こりやすい状況へ変化するため身体にかかる負担は増加します。
筋に関する研究結果では、上り坂走は速度に関係なく推進期(蹴り出し)に関わる殿筋群や大腿四頭筋、腓腹筋などの筋活動が増加するとわかっています。
つまり股関節(お尻周り)を鍛えたい場合は、上り坂を利用したショートインターバル・トレーニングなどがおすすめです。
上り坂は走り、下り坂は歩きながらリカバリーに充てると着地衝撃の観点からも身体の負担は減らせます。
その他に広い公園(芝生や土)内で行うファルトレクも理にかなっている方法と言えます。
デメリットである下り坂での着地衝撃の増加を柔らかいサーフェスにより減らしつつ、メリットである上り坂走で筋活動を高めることができる最高の方法です。
路面の傾斜(左右)
特に街中のランニングで問題となるのが左右方向へ傾斜した路面です。
これは「水はけ」を良くするために排水溝に向かって効率よく水を流すために必要なもので道路のセンターライン(中央)を頂点に両端に向かって傾斜していることが一般的です。
そのため、仮に道路の左側を常にランニングしていると右足は常に左足よりも高い場所に接地することとなり、左右の脚長差が生じていることになります。
また、この時の右足は「回内(オーバープロネーション)」を強制されやすく身体の左右差や故障の原因となります。
ランニング障害の要因として脚長差、過回内(オーバープロネーション)は傷害リスクを高めます。
見た目ではそこまで傾斜は強くなくとも、何千歩〜何万歩と繰り返しの着地をおこなうことで確実に影響を受けてしまいます。
路面のコーナー(カーブ)
陸上競技場内のトラックで練習をおこなうと必ずコーナーを走ります。
極端にゆっくり走る場合を除い、てランナーは遠心力によって身体が外にブレないように内側に向かって身体を傾けます。
この時、左足で支持〜蹴り出しでは足部の回内が大きくなります(オーバープロネーション)。
先に説明した路面の左右傾斜とあわせて、足部の「過剰な回内(オーバープロネーション)」が故障の危険性を高める要因であることを理解しておく必要があります。
故障につながる足部の過回内(オーバープロネーション)
足部の内側はいわゆる土踏まずがあります。
これは内側アーチとも呼ばれますが、通常では地面と接しておらず足部が回内(土踏まずが地面と接する)することによる衝撃に弱い構造です。
本来は「距骨(きょこつ)」と呼ばれる骨がスプリング靭帯(底足踵舟靭帯)に支えられていますが、回内のストレスが続くことで徐々に靭帯などの支持機構に大きな負担がかかります。
ランニングでは少なくとも体重の3〜4倍程度の負荷がかかると言われており、接地するたびに過回内のストレスが続くことで足に不具合が生じることは想像できると思います。
例えば、アキレス腱炎発生の要因としても過回内は深く関わっており、ランニング中の回内変形がアキレス腱の負担を増大させる(内外側の張力不均衡)ことがわかっています。
過回内を予防するためには路面の傾斜や偏ったコーナー走を避けるコース設定も必要です。
まとめ
路面の特徴によるランニング障害との関連についてまとめました。
毎回、同じコースをランニングしたり左回りを繰り返し続けるようなトレーニング(特にインターバルなどの高速スピード)では偏ったストレスを足に与え続けている可能性があります。
コースを変更したり、陸上競技場内の練習前は右回りでアップをおこなうなどの工夫と練習後のケアをしっかりおこないましょう。
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